こんにちは。守る会会員Kです。「木津で『道草』」と題し、5月の鹿背山城跡の整備活動からの帰り道に木津町内で出会った道端の草花(道草)を紹介しています。初回は鹿背山会館を出発し、脇の坂道を登って少し進んだ辺りまでで10種類の道草を紹介しました。今回はそこから字西大平の坂道をJRや国道163号バイパスの方へ下って行きます。
アメリカフウロ(亜米利加風露・フウロソウ科フウロソウ属・5月22日鹿背山西大平)。瘦せた土地でもよく生えるようで、線路のバラストの間から生えているのを見かけることもあります。痩せた土地ほど葉が赤くなり易いそうで、鹿背山でも土の場所では青々としていましたが、コンクリート目地から出たものは葉の先が赤くなっていました。漢字で書くと「アメリカ風のロシア」みたいですね。
エノコログサ(狗尾草・イネ科エノコログサ属・5月22日鹿背山西大平)。「猫じゃらし」の俗称で、「誰でも知っている道草」の第一位ではないでしょうか。犬の尾に似た姿から「イヌコロ」が「エノコロ」に転じたそうですが、つまり、犬のしっぽに猫がじゃれつくわけで、想像すると和まずにはいられません。
ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜・キク科ムカシヨモギ属・5月22日鹿背山西大平)。葉が薄く、ヨメナに似た花だからこんなふざけた和名が付いているようですが、白と赤(ピンク)の花が咲き乱れる様子から「源平小菊」という別称もあります。他に「エリゲロン」なんていう名も。とても同じ花の名前だとは思えません。
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢・オオバコ科クワガタソウ属・5月22日鹿背山西大平)。「フグリ」の意味を知った日から忘れられない名前の草です。近代以降に帰化した草だそうですが、これしか知らなかったのでてっきり「大きな犬の、ふぐり」だと思っていました。ところが、これと似た在来種の「イヌノフグリ」が先にあって、これよりも大きいから「大きな、イヌノフグリ」と名が付いたそうです。「イヌノフグリ」の果実は確かに犬の陰嚢に似た形をしていますが、この「オオイヌノフグリ」の実はそれほど似ていません。
ツボミオオバコ(蕾大葉子・オオバコ科オオバコ属・5月22日鹿背山西大平)。「オオバコ」に似ていますが、花が蕾のままの様に見えるからこの名があるそうです。オオバコに比べて葉が細長く、沢山の小さな花が付く穂のような部分が長いことが多いように思います。ありふれた草のようですが、私自身は鹿背山で初めてお目にかかりました。
ユキノシタ(雪の下・ユキノシタ科ユキノシタ属・5月22日鹿背山鹿口)。JR大和路線のレンガ積み橋台脇の盛土石垣に生えていました。湿り気の多い、つまり日陰がちな場所で、小さな白い花を咲かせるので、一見地味ですが、近づいてよく見ると5枚の花弁のうちの下の2枚だけが長く、全体が「大」の字状をした特徴的で美しい花です。
スイバ(酸い葉・タデ科スイバ属・5月22日鹿背山鹿口)。雌雄異株だそうで、これは花らしき部分がピンク色なので雌株のようです。別名の「スカンポ」と共に、茎を折って食べると酸味があるのが名の由来だそうです。私はまだ食べてみたことはありませんが、守る会の会員には「昔の子供」が多いので、おやつ代わりに食べたことのある方がおられるかも知れません。
セイヨウヒキヨモギ(西洋引蓬・ハマウツボ科セイヨウヒキヨモギ属・5月22日鹿背山鹿口)。ハマウツボ科の植物はほとんどが寄生植物で、葉が退化しているものも多く、他の植物の根などに寄生して栄養を得ているそうです。このセイヨウヒキヨモギは半寄生で、自らも葉緑素のある葉で光合成をしながら、寄生もしているのだとか。試しにインターネットで「セイヨウヒキヨモギ」を画像検索すると、どれも同じように他の草が沢山生えているの場所に生えている写真ばかりです。
ネズミ?ホソ?ムギ(鼠細麦・イネ科ドクムギ属・5月22日鹿背山鹿口)。どちらも明治時代に牧草として日本に持ち込まれた「ネズミムギ」と「ホソムギ」の交雑種が「ネズミホソムギ」なのですが、正直なところ3者の区別が難しく、草丈の違いや小穂の芒(のぎ)の有無など色々と区別できる点はあるようなのですが、写真の草がどれなのかハッキリとは分かりません。イネ科は道草の種類が多く、姿の似たものも多いので、少しずつでも覚えたいと思います。
マメグンバイナズナ(豆軍配薺・アブラナ科マメグンバイナズナ属・5月22日鹿背山鹿口)。「ぺんぺん草」の俗称で知られる「ナズナ」とよく似た草です。「ナズナ」が歴史時代以前に帰化したと考えられている一方、こちらは近代以降に帰化したもの。いまではこちらの方がよく見かけるように思います。写真のものは控え目ですが、茎が沢山に枝分かれし、草丈が膝あたりまで高くなっているものも見かけます。似た草で、大きな「グンバイナズナ」の実は確かに軍配の形をしているようですが、この草の実は円形で軍配らしくありません。先のオオイヌノフグリと同じパターンですね。
オオキンケイギク(大金鶏菊・キク科ハルシャギク属・5月22日鹿背山鹿口)。繁殖力が強く、在来の植物を駆逐して生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるということで「特定外来生物」に指定され、採取や栽培などが禁じられています。特にこのオオキンケイギクは各地で問題になっているようで、駆除の取り組みを紹介するテレビニュースや新聞記事を見聞きすることも多いように思います。城山台や周辺の開発に伴って新しくなった水路脇の荒地に咲いていましたので、工事で持ち込まれた土砂に混ざった根など育ったものと想像できます。まだ数が少ないうちに駆除されると良いのですが。
コメツブウマゴヤシ(米粒馬肥やし・マメ科ウマゴヤシ属・5月22日鹿背山鹿口)。小さな米粒の様な果実をつけることからこの名が付いたそうです。シロツメクサの仲間の「コメツブツメクサ」とそっくりで見分けが難しいのですが、コメツブツメクサは枯れた花弁が茶色くなって残るのに対し、これには茶色い花びらを残した花が無いようですのでコメツブウマゴヤシと判断しました。
コマツヨイグサ(小待宵草・アカバナ科マツヨイグサ属・5月22日鹿背山鹿口)。その名の通り、昼間に見たときは写真と同じ様に閉じていた花が、夕方に開いているのを道端でもよく見かけます。枯れた花が赤く変色するのも特徴です。最近、特定外来生物への指定の検討が報じられたアメリカザリガニやアカミミガメと同じく「生態系被害防止外来種(要注意外来生物)」に指定されています。
セイタカハハコグサ(背高母子草・キク科ハハコグサ属・5月22日鹿背山鹿口)。在来の「ハハコグサ」に似ていますが、ハハコグサの株が椀状に広がるのに対し、それぞれの茎が名の通り上に高く伸びていますので帰化植物の「セイタカ~」の方だと思います。工事用フェンスの際に生えていて、これも土砂とともに種が運ばれてきたのかも知れません。
新設された国道163号線バイパスの高架下あたりの工事フェンスの際はまるで展示場のように多種類の道草が並んで生えていました。この写真に写った数百㎠の地面に、ノゲシ・オニタビラコ・カモガヤ・カモジグサ・コメツブウマゴヤシ・ヨモギ・ヒメコバンソウ・ミミナグサなどが生えています。在来種、帰化種ともに、もともとこの辺りに生えていたものや自然に運ばれたものもあるでしょうし、城山台や国道の工事に伴って運ばれてきたものもあるのかも知れません。
今回は14種類(+α)の道草を紹介しました。鹿背山地区はここまで。次回はこのまま東へ、木津駅方面に向かいます。
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